White Mischief

白い災い by Dick Coxxx

 この話は実話に基づいている。いくつかの出来事は実際に起こったことだが、他の部分は私の創作だ。私はジェームズ・フォックの著書「白い災い」は読んでいないし、それを原作とした映画もいまだ見ていない。女優のグレタ・スカッキはこの映画で、ダイアナ夫人を演じた。彼女はイタリア人の父とイギリス人の母を持つ、美しくてセクシーな女優だ。私が彼女からイメージしたのは、遥か前の「ハッピーバレー」における、イギリス貴族と地元のアフリカ人との、人種的な争いだった。

 私はすぐに本も読んで、映画も見ようと思う。終わったらこの物語の続編、「ハッピーバレー」を執筆しようかとも考えている。私はグレタ・スカッキをイメージしながらこの作品を書いたので、ヒロインに彼女の名前を借用した。彼女は映画でも最高の演技を見せていたに違いない。未だかつてグレタと会ったことが無いのは、私にとって何より残念なことだ。彼女は私のお気に入りである。いつの日かケニアを訪れ、「ハッピーバレー」と呼ばれていた場所を見物し、キリマンジェロに登ることができたらと思う。

 以下が私のストーリーである。

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 今より50年以上前の1940年代初頭、裕福なイギリス人が、戦争の狂気から逃れる為に建設した、本国から遠く離れた牧歌的な場所があった。ロンドン市に連夜のようにもたらされる、ドイツ軍の空襲警報と恐ろしい爆撃とは全く無縁の場所だ。第二次世界大戦が始まる前、多くのイギリス人が全ての財産をつぎ込んで戦争で引き裂かれた祖国から、ケニアのナイロビ郊外の平和な谷へと移り住んでいた。地元のアフリカ人が「ハッピーバレー(幸福の谷)」と呼ぶ場所である。

 特権階級であるイギリスの紳士・貴族は、コック、使用人、庭師、そして運転手を雇い、「ハッピーバレー」に広々とした大邸宅を所有していた。彼らが裕福であればあるほど、その使用人の数は膨大な人数にのぼった。これを読んでいる人達に覚えておいて欲しいのは、かつてその土地がアフリカ人、とても誇り高いアフリカ人の物であったという事だ。もし貴方の国に彼らのような帝国主義者達がやって来たとする。そして彼らが膨大な資金で全てを買い占めて、あらゆる種類のサービスを要求したとしたら、貴方はどう思うだろうか?

 彼らの資金が地域経済を潤したというなら、まだ良い話だった。しかし実際には、イギリス人達が持っていた非常に高価な品々の大部分は、本国から持ってきたか、またはオーストラリアやアメリカなどから購入した物ばかりだった。当然、イギリス人がいくらケニアで贅沢三昧の生活をしても、ケニアの経済は一向に繁栄する事はなかった。隣の人間が金や物を持っているのを見れば、自らも欲しくなるというのは、人間の性である。そしてその欲望と嫉妬は、やがて彼らの「支配」にまで及ぶことになるのだ。

 「ハッピーバレー」に来たイギリス人の中には、裕福な老人達が沢山おり、小さな子供達を抱える若い夫婦はあまりいなかった。その為、晩餐会と社交ダンスはより入念に、より豪華に用意されるのが常であった。貴方は想像する事できるだろうか、タキシードとイブニングドレスを着たイギリス人が金持ちの友人達と楽しんでいる間、残りのアフリカ人は恐ろしい貧困に苛まれているのだ。

 晩餐会の後、男達は動物の剥製が飾られた、ナイバシャ湖のカントリークラブで煙草をふかし、高級なブランデーを飲み、ビリヤードを楽しむ。女性達は最高のドレスと手袋、そして派手な帽子で身を飾り、夕食後のダンスが始まるまで、サロンでおしゃべりに花を咲かせる。その様子は、戦争の恐怖に怯える古臭い祖国イギリスの人々と同じなのだろうか?かけ離れているのだろうか?

 悪名高いアメリカの「ペイトンパレス」の20年から25年ほど前の話である。しかし「ハッピーバレー」と呼ばれる場所は、不倫、嫉妬、邪悪というペイトンパレスにあった全ての要素を兼ね備えていた。イギリス人の多くは篤く祖国に忠誠を誓っており、日曜日の朝には国教会の礼拝への出席を欠かさない。しかし同じ人間が、土曜日の夜には暴飲暴食と不道徳な行為に耽っていたのである。土曜日の朝、風光明媚なナイバシャ湖の近くにあるカントリークラブでゴルフやポロに興じ、夕方には不道徳な宴が開始されるのだ。

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 英国人がナイロビで購入する土産物で人気があったのは、現在は禁止されている象牙製の小間物である。しかし、当時のイギリスの貴婦人に非常に人気があった品は、つやを消した黒檀のような黒い角であった。アフリカの黒い雄牛から取られたもので、これを、アフリカのマンディンゴか、あるいはズールー族の巨大な黒いコックから取った型に基づき、雄の生殖器の形に仕上げた代物だ。

 この古典的な張形は、多くの貴婦人を魅了して大好評を博し、イギリスの男達は、妻らを自らの手で燃え立たせるのに使用した。当時、イギリス人女性は全く性的に解放されていなかったのである。貴婦人達の耳に入った古いアフリカの伝説から、それらの張形は「誇り高いアフリカの戦士」、「アフリカの雄象」などと、名付けられていた。長さと太さを兼ね備え、突端にはかさの張ったカリが再現されていた。

 これらの張形は、いぼ付コンドームと同じような力が、いや、もっと強力な力を持った代物だった。2つの張形の違いは、「アフリカの戦士」には1つの「目」があり、「アフリカの雄象」には2つの「窪み」があるという事だ。どちらにせよ、この張形は、冷静で臆病なイギリス人女性を、ベッドの上でいやらしい雌猫に変えてしまうと評判の商品だった。野暮ったい人妻も確実に色情狂のような女にしてしまう、簡単で強力な催淫剤というわけである。

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 ダグラスと妻のグレタ・スタンフォードは、ジョック・デービス卿と、彼の妻ダイアナ・ブロートン夫人から、「ハッピーバレー」の出資者として、一緒に谷で暮らさないかとの誘いを受けた。ジョック卿は、イギリス植民地の上級官僚である。その時、ジョック卿は60代、彼の愛らしい「トロフィーワイフ」は35歳であった。1940年代、裕福な男性が成功の証として、若く美しい妻を得ることは当然の風習として行われていた。

 もし「ハッピーバレー」で起こっている乱痴気騒ぎが女王陛下の耳に入ろうものなら、女王陛下は自国の上流階級の人間達を、軽蔑と困惑の眼で見ただろう。幸いな事に、「ハッピーバレー」における異様な堕落と薬物使用は、女王に報告されなかったか、あえて聞こえないふりをされていた。

 ダグラス・スタンフォードの職業は弁護士であり、妻のグレタは「ハッピーバレー」に住む、僅かなイギリス人の子供達の為に、学校で先生を勤めていた。グレタは家事に飽き飽きした主婦のように、何の心配も無く人生を送っていた。BBCのラジオが聞けない事を除けば、夫婦の大邸宅には全ての安らぎが存在していたのだ。しかし、彼女にはある運命が迫っていた。

 夫妻が雇っていたコックは、アフリカ人のティカ・ノジョロワで、彼女の夫ゴージは庭師として働いていた。ティカはコックとして素晴らしい料理を作り、彼女自身も自分の素晴らしい料理を楽しんでいるせいで、彼女の体は非常に太っていた。ティカとゴージの夫婦はスタンフォードの屋敷の後ろにあるみすぼらしい小屋で、14歳の可愛らしい娘と暮らしていた。娘のセレマイはメイドとして屋敷で働いていた。

 夫妻の運転手、ジョゼフ・マイサイは屋敷の古い車庫に住んでいた。馬車や馬、バギーなどは置いていなかったが、古いジャガーの為に、半ば半壊のまま使用されている汚い車庫である。いまいましいイギリス人は、車を一から組み立てる事など出来なかったし、修理する事も出来なかった。

 世界大戦で、ヤンキーが一度ならず二度までもイギリス人を救うような真似をしなければ、信頼できる設備で最高の機械を生産するドイツ人に、彼らは叩きのめされていたであろう。ジョゼフはしばしば故障するジャガーを修理することに長けていた。時々起こる複雑な故障の際には、ナイロビから地元の整備士を、スタンフォードの屋敷まで呼び寄せていた。

 植民地ケニアの習慣として、運転手はピストルを装備しているだけでなく、野生動物から家族を守るため、高性能ライフルも持っていた。またジョゼフは、「キボコス」と呼ばれる獣皮の鞭と、「パンガ」という幅広の鉈を所持していた。「パンガ」は殆どのケニア人男性が、ありふれた農耕具としてだけでなく、有効な武器として、当たり前のように持っていた刀である。

 ジョゼフはスタンフォード家の護衛として非常に優秀だった。彼の姓「マイサイ」とはケニヤ語で「荒々しい」という意味であり、敵によって彼に与えられたあだ名であった。彼の恐ろしい振舞いを表した言葉だ。しかしこの言葉は侮蔑の言葉ではない。もしダグラス・スタンフォードが、自分のアフリカ人運転手が「マウ・マウ」と呼ばれる反乱を起こした組織、キクユ中央協会(KCA)メンバーであることを知っていたなら、彼を雇わなかったであろう。ピストルとライフルを携帯させて、自分の護衛にする事もなかったであろう。

 しかし護衛として雇われたマウ・マウは、静かに「その時」時が来るをの待っていた。マウマウを組織する冷酷なマンディンゴとズールー族の戦士達は、イギリス人の勿体ぶったしぐさと、恩着せがましい態度を憎悪していた。「その時」は直ぐに来るだろう。そして彼らへの報酬は最高に甘いものとなるだろう!

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 暑いアフリカの気候のため、グレタはイギリスで着ていたような厚着や、締めつけるブラジャーとは無縁な格好であった。これのために、多くの男が彼女の完璧で無防備なの白い胸に引き付けられた。 夫のスタンフォードは、多くのアフリカ人の男達が、自分のブロンド妻を見つめているのに気づいていた。妻は黒人奴隷たちにとって、触れることも許されない女神に違いない。彼はそんなことを考えると下腹が痛くなり、未開のアフリカ人とブロンドの妻が一緒に居ることを想像すると、スタンフォードのペニスは硬くなりさえするのだった。

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 スタンフォードの所有地には、美しい小さい池があった。グレタがそこで水泳を楽しむときは、ジョゼフ・マイサイの警備のもとで衣服を脱ぎ、午後の太陽の下で全裸で池を泳ぐのだった。ジョゼフは白人の美しい婦人が、家の外でこのような奔放な行為をする事を知っていた。自分たちは2本足の獣としか思われていないのだ。

 ジョゼフは美しいブロンド妻を観察できる、このような機会を楽しんでいた。彼女が裸になって自分を誘惑しているのだと錯覚するような光景だった。彼は近くの木にもたれてタバコを吸っていた。彼の太く逞しい腕には、装弾されたライフルがしっかりと握られている。アフリカ人の運転手と警備員は、彼女の滑らかな象牙の様な肌から目を背けようとしても、ついつい見てしまうのだった。熟した乳白色のバストと、長い両脚の間に隠れるブロンドの恥毛。まさにセックスの為に神が創造した肉体だった。髪を染めていた他の婦人達に比べ、スタンフォード婦人はナチュラルブロンドである事も、ジョゼフは知っていた。この美しいブロンドの人妻への欲望は爆発寸前だった。

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 ある晩の夕食の後、グレタは大邸宅の広々とした中庭を散策していた。その時、彼女は車庫から奇妙なうなり声の様な音が響くのを聞き、ジョゼフが具合でも悪くしたのかと思い、調べに向かった。蝋燭の光のおかげで、グレタは開いている窓から中の光景を見ることが出来た。車庫のベッドの上では、ジョゼフがまだあどけない黒人の少女を抱いていた。ジョゼフの筋肉質の脚の間から生える巨大な黒い兵器が、少女の貞操を突き破る光景に、グレタは眼を奪われた。

黒人の運転手が見せびらかしている兵器は、あの「アフリカの雄象」と呼ばれる張形さえ、貧弱なサイズに思えるような代物だった。黒人に組み敷かれている幼い少女はコックの娘、セレマイだった。彼女の快楽と苦痛が入り混じった瞳と視線を合わせた時、グレタは言い知れぬ恐怖に思わず息をのんだ。その音に、ジョゼフとセレマイは窓の方へ頭を向けた。

 セレマイが白人の女主人に笑いかけると、ジョゼフもグレタにニヤリと笑いかけた。覗き見をしていた女主人は思わず頭をすくめたが、この非常にエロテッィクな光景を見続ける為に、窓から身を離すことが出来なかった。黒人運転手がセレマイを「女性」に作り変えている光景に、彼女の下着は濡れていたのである。その夜、セレマイは何度も女の喜びを味わい、グレタはあの大きな黒い雄が自分を貫く事を妄想したのである。その頃、彼女の夫は商用でしばしば家を空けていた。

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 土曜日の朝、ナイバシャ湖のカントリークラブでゴルフのラウンドが終わった後、ジョック卿とダグラスは、ダイアナ夫人が黒人奴隷を模した張形に夢中になっているという話を始めた。

 「こいつさ」
ジョック・ブロートンはダグラスに張形を見せた。
「私はこいつを2・3個持っている。多分、貴方の美しい奥様も気に入るんじゃないかい?」

 ジョックは巨大な黒い張形をダグラスに手渡した。ジョック卿の提案に、彼は赤面することしか出来なかった。他人をからかうのが好きなジョック卿は、彼の様子を見て笑った。

 「しかし、実際には、奴等のモノはこんなに大きくはないんでしょう?」
ダグラスが尋ねる。

 「おいおい、そいつはアフリカの野蛮人どもが持っている黒いモノと同じさ。世の淑女達は黒くてでかいのが大好きなのさ。私はこいつのおかげで妻とも円満なんだよ」
ジョック卿は誇るかのように言った。
「私はゲイじゃないが、年のせいもあって以前のようにはダイアナに十分なサービスが出来なくなっちまった。私の言う意味が分かるかい?私はこいつで彼女を楽しませてやるのさ。こいつなら彼女に「黒」魔術をかけてやる事だってできる。黒い雄鹿の一突きで、彼女に悲鳴を挙げさせるのさ」

 ダグラスの頭の中では、ダイアナ夫人が両脚を広げて、アフリカの巨大で黒いモノを迎え入れる光景が駆け巡っていた。

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 ある土曜の夜。グレタはいつもの様に美しかった。彼女は常に晩餐会の主役であり、ダグラスにとっては自慢の妻であった。他の夫達はグレタとダンスを踊ることは出来たが、当然のごとく、彼女は夫と帰宅するのだった。ダグラスが耳にしたところによると、この後、ブロートンで別の内輪のパーティーがあるとの事だったが、彼の頭の中にあったのは、ブロンドの妻とベッドに入り込むことだけだった。

 グレタがベッドに入る為に、イブニングガウンを肩から脱ぎ始めた時、夫はあまりの美しさに息をのんだ。彼女はブラだけでなく、下に何も着ていなかった。

 2人はそのままベッドへと入った。夕方、夫がワインに潜ませた催淫剤のおかげで、グレタはすっかりその気分になっていた。彼女は生まれたままの姿で彼の横に寝そべった。情熱的な口付けを交わすと、ダグラスは妻の太股の間に手を滑り込ませる。彼女は既に濡れていた。

 「愛してるよグレタ。今夜は驚くよ」

 「ダグラス」
彼女は喘ぎながら答える。
「何のこと?」

 夫は枕の下から例の張形を取り出した。グレタは枕元の蝋燭の光に照らされた、巨大な黒い張形を見つめた。最初に夫の手に握られたものを見たとき、彼女の脳裏に浮かんだのは、ジョゼフ、あの黒人運転手の巨大なコック、あの夜セレマイを貫いた黒いコックだった。

 夫の手に握られた黒い物体が、胎内の入口に触れたとき、グレタは大きく喘いだ。彼女はジョゼフに抱かれるのを想像していた。それを早く胎内に迎え入れようと、彼女は太股を大きく開いた。張形のように反り返ったペニスで貫かれ、グレタは絶頂を迎えた。グレタのプッシーがきついのはいつもの事だ。「黒い雄象」には到底敵わない夫のペニスでさえ、愛しい妻の胎内はとてもきつかった。彼は妻を抱きながら、本物の黒人のコックがこの処女のようなプッシーを貫く光景を想像していた。

 2人はその夜、初めて2回愛し合った。いつも彼は1回が限界だったのだ。ダグラスは気づかなかった。彼は満足しても、強力な催淫剤に犯された妻は、2回ではとても満足できなかったのである。彼は愛しい妻を腕に抱きながら余韻を楽しんでいた。

「今まで僕が遠くに出かけている時、黒人の愛人を作ろうと思ったことはある?」

夫の質問に、グレタは驚いた。

「何で?もちろん無いわよ。私が愛しているのは貴方だけ」

「いい子だ」
夫はそう言うと、深い眠りについた。

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 夫が眠っても、グレタは黒い張形、夫とのセックス、そして強力な催淫剤の効果のせいで、どうしても眠ることが出来なかった。そっとベッドを抜け出すと、薄手のローブを身にまとい、忍び足で浴室へと向かった。シャワーを浴び終わると、綿毛のスリッパを履いて裏口から車庫へと向かった。彼女の「良心」は自分を止めようとしたが、熱くなった「心臓」と「股間」が彼女を動かしていた。投票は2対1で可決されたわけである。

 自分とセレマイとの交尾を覗き見した事を発見した後、ジョゼフは美しいスタンフォード夫人に改めて興味を持つようになっていた。若い黒人娘とのファックは楽しい。しかし、黒人運転の性欲は1人の女性に向けられていた。美しいブロンド女。グレタ・スタンフォード夫人。

 今晩の舞踏会の送り迎えをしたのもジョゼフである。グレタを乗せる為に車のドアを開けたとき、ジョゼフはイブニングドレスの胸元から見える完璧な2つの膨らみを見ることが出来た。サイドスリットからはセクシーな太股が露わになっていた。彼女が座席に座ったとは、いつもの服装では見ることの出来ない美しい脚を見ることができた。その時、彼の巨大なコックは岩のように硬くなっていた。

 スタンフォード夫人のせいでジョゼフはいつも息苦しい思いをしていた。四六時中、ブロンドの人妻の事ばかり考えていたのである。夫婦が晩餐会から帰る際に、グレタが夫によって強力な催淫剤を盛られていた事を、ジョゼフは知っていた。なぜならその薬は、夫が数日前、「信用できる運転手」に命じて調達させた物だったからである。すっかりだまされたダグラスは、その催淫剤が、グレタに与えられた量では、効果が非常に長い間持続することも知らされていなかった。

 美しいグレタ・サンフォード夫人が粗末な寝室に入り込んできた時、ジョゼフはたぬき寝入りをしていた。今夜の不倫の為に、蝋燭は点されたままであった。誇り高いアフリカの運転手であり護衛である男の耳には、グレタが忍び込んでくる音は聞こえなかったが、芳香が彼の鼻を刺激した。彼の鋭い嗅覚は、高価な香水の匂いだけでなく、太股の間からのセックスの臭いもかぐことが出来た。

 ジョゼフが薄目を開けると、グレタの薄手のローブから透ける真珠の様な肌が蝋燭の光に照らされていた。まるで天使のような美しさだ。今夜、天使は彼の物になるのだ!

 ジョゼフはグレタに考え直す暇を与える前に、突然起き上がると、逞しい黒い腕でブロンド女を抱き寄せ、彼女がいまだ経験した事が無いような情熱的なキスを交わした。まるで黒魔術にかかったように、グレタは強い抱擁の中に堕ちていった。

 黒人の護衛の手で、滑らかな白い肩から薄手のローブが滑り落ちる。美しいスタンフォード夫人は、真珠のネックレス、イヤリング、ブレスレットだけという姿で、誇り高いアフリカの戦士の前に立っていた。戦士は正当な報酬を受けようとしていた。

 ジョゼフは既に全裸であった。黒いコックは筋肉質の太股の間で、大きく反りあがって脈動していた。黒い手が彼女の肩に伸びて、彼女は跪かされた。最初、グレタは彼が何を望んでいるのか分からなかったが、眼前に巨大なコックを突き付けられたとき、直ぐに悟ることができた。彼女はためらう事無くルビー色の唇を開くと、それを口の中へと飲み込んでいった。夫のダグラスは時折これを望んでいたが、彼女はいつも拒否していたのである。その彼女が今、ロンドンのスラムにいる売春婦のように、黒いコックをしゃぶっているのである。

 最初、雄の強烈な臭気が彼女を躊躇わせたが、直ぐに大きな黒いコックを一心不乱にしゃぶり始めた。グレタは精液で満たされた巨大な黒いボールを片手であやす様に触りながら、舌で巨大なコックを刺激していた。彼女は巨大なコックの頭を舐め回し、コックの上に浮かんだ血管をやさしく歯を立てた。

 しばらくして、ジョゼフはブロンド女を引き離した。「黒い種子」を無駄撃ちしたくなかったからだ。彼はブロンド女をベッドの端に座らせると、大きく両脚を開かせた。太股の間に頭を突っ込むと、自らの舌で、グレタを絶頂に導いて行く。ジョゼフの舌によって、彼女の夫の、白人の薄い精液は全て取り除かれてしまった

 グレタは新しいアフリカの愛人に責められ、息を弾ませていた。

 ジョゼフはまるで子豚が与えられた餌に群がるように、彼女の美しいバストにむしゃぶりついた。アフリカ人が圧し掛かってくるのに合わせて、グレタは彼の快楽と征服感の為に首を寄せてきた。情熱的な夜の証拠に、首には多くのキスマークが出来るに違いない。恐らく彼女の夫は、自分自身が付けたマークだと思うだろう。まったく馬鹿げた話だ。寝取られ男は、別の男が妻の肉体を楽しんだのを悟るだろう!

 今夜、彼女の夫が例の張形を使ったのは幸運だった。そうでなければ、ジョゼフの黒いコックが彼女のプッシーを貫くのは、とてもきつい事だっただろう。

 グレタの呼吸は激しくなり、心臓の鼓動は呼吸と競争しているかのように激しく鼓動していた。彼女は未だかつて、愛する夫に対して不誠実であった事は無い。今、彼女は十戒の1つを破ろうとしているのだ。それも獣のようなアフリカ人を相手にしているのだ。

 「お、お願い、私を抱いて」
グレタは黒人運転手の耳に囁く。

 「いったい、何が欲しいんです?」
ジョゼフが答える。

 「お願い、ジョゼフこれ以上言わせないで」
グレタは巨大な黒いコックの奴隷となっていた。彼女が黒人奴隷を名前で呼んだのはこれが初めてである。

 ジョゼフは完全なる征服感に笑みがこぼれた。

 「それじゃあ、くれてやるよ。俺が天国の階段に連れて行ってやる」

 グレタはアフリカの血と筋肉、そして精液が凝縮された巨大な黒い怪物を握ると、自らの太股の間に導いていった。悪魔の黒んぼコックが彼女の良心を奪い取るさまを、蝋燭の揺れる光が照らしていた。

 ジョゼフの黒いコックに貫かれた時、美しいブロンド妻は背中を仰け反らせて、バンシーの様な悲鳴を挙げた。やがてきつい鞘の中に、黒いものが完全に埋め込まれる。幸運なことに、彼女は十分に濡れていたので、巨大な黒いものは多少なりともスムーズに入り込み、彼女の肉体が望んでいた禁忌の喜び、「黒」の喜びを与えていた。彼女の眼には、ジョゼフの誇り高いコックは、セレマイとファックしていた時よりも、はるかに巨大に見えた。

 グレタは彼の全てを欲しがり、せがんでいた。ジョゼフは白人の世界で迫害されている黒人の恨みの全てをコックに込めて、美しいブロンド女に突き立てていた。長い間彼らは、奴隷にされ、鎖に繋がれて動物より酷い扱いを受けてきたのだ。これは当然の報復だった。

 誇り高いアフリカの戦士が、イギリスの貴族の女性を貫いていた。それは彼女が未だかつて味わったことの無いファックだった。彼女の両脚は逞しい黒い尻に絡みつき、踵で黒い背中を抱き寄せ、さらに深く貫いてくれと催促していた。愛液で塗らされた黒い中指は、彼女のアナルに滑り込んでいる。

 グレタは、喘ぎ声を挙げて絶頂を迎えた。彼の指が絶頂の合間を縫うように、ゆっくりと後ろの穴へと入っていく。アフリカ人の舌が彼女のかわいらしい口を力強く吸った。黒い巨大なコックが根本まで埋め込まれ、黒い指は彼女の腸の中でくねっていた。彼女は気持ち悪く感じた。逞しいアフリカの戦士は、この美しい子羊にアナルセックスの喜びを教えてやろうとしているのだ。彼女の苦痛と快楽が入り混じった悲鳴は、死人さえも墓から目覚めるかと思うほどの絶叫だった。グレタはこの夜のことを一生忘れないだろう!

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 次の朝、ダグラスは素晴らしい睡眠と、美しい妻とのセックスのおかげで、すっきりと目覚めることができた。催淫剤とアフリカの張形のおかげで、昨夜のグレタはベッドの中の獣だった。彼は妻の中から漏れた自分のスペルマがシーツに作った染みを見ながら、妻はどこに行ったのだろうと考えた。ダグラスはシャワーを浴びながら、妻は教会に行く前に、台所でコーヒーでも淹れているに違いないと想像した。

やがて、ダグラスはコーヒーの良い匂いが漂う台所へと入った。ケニア産のコーヒーは強い芳香と、それに負けない味があるのが特徴である。台所の芳香は、彼とグレタの好きなダークローストだった。彼は直ぐに妻が、彼の想像より遥かに「ダーク」なローストが好きであることを思い知らされるだろう。台所の芳香は、彼の妻ではなく、コックのティカが淹れたコーヒーのものであった。

 「妻はどこだい?」
彼は不思議そうに尋ねた。

 「いいえ知りません」
彼女は答えた。
「多分、奥様は朝の散歩にでも行かれているのでは?」
コックはスワヒリ語が混じった英語で言った。

 コーヒーと美味しいイギリス式の朝食を摂った後、ダグラスは寝室に戻り、妻が直ぐに帰ってくるだろうと思い、朝の礼拝に行く為の準備と着替えをしていた。

 ダグラスは少しイライラし始めていた。妻は帰ってこないし、運転手のジョゼフは迎えに来ないのだ。10時30分に教会に着くためには、もう出かけなければならない事を、ジョゼフは百も承知のはずだ。ダグラスが車庫まで歩いていくと、車庫と呼ばれる小さい小屋には、まだジャガーが停まっていた。

 「変だな」
ジョゼフが遅刻することなどめったに無い。ダグラスはここで引き返すべきだった。もう礼拝の時間には完全に遅刻だ。

 ダグラスの耳に、小屋の隅から奇妙な音が聞こえてきた。彼は小屋の寝室の窓に近寄った。その音は明らかにセックスのものだ。
「あの黒んぼ、昨夜はどこかで女をつかまえてきやがったな」
彼は笑いながら、寝室の窓から中を覗き込んだ。白人女性を四つん這いにさせてバックから犯すジョゼフの姿が、彼の眼に飛び込んできた。ダグラスはアフリカ人のコックの巨大さに、いまさらながら驚いた。アフリカ人に犯される白人女の後姿を見て、彼は妙に見覚えがあると思った。そして、それに気づいたとき、現実が彼を襲った。

 「そんな馬鹿な」
彼は必死に否定しようとした。
「黒んぼがさかっている相手は、グレタじゃ無いか?」

 「神様、なんてこった!」
彼は叫び声を挙げていた。

 ジョゼフは、白人の奴隷主の声に振り返ったが、奴隷主の奥様を犯すのを止めようとはしなかった。白い歯をむき出しにして、自分の主人にニヤリとわらいかけた。主人の妻は何度も絶頂に行かされたせいで、何が起こっているのか、誰に見られているのか、すっかり分からなくなっていた。ジョゼフの黒いコックで貫かれた両脚の間の感触だけが、彼女の頭を支配していたのだ。

 ダグラスは呆然としたまま、ブロンドの美しい自分の妻が、アフリカ人の巨大なコックで支配されている光景を眺めていた。グレタは黒いアフリカの獣にレイプされたのではない、自ら黒んぼを求めているのだと、彼は思い知らされねばならなかった。彼の眼前では、白人女性が逞しいアフリカ人と腰を振っていた。グレタはジョゼフの黒くて巨大なコックを望んでいたのだ!

 最高にエロティックな黒と白の交わりを見ながら、ダグラスのズボンの中で彼のペニスが硬くなっていった。ダグラスは驚かなかった。彼は何度もジョゼフと妻がセックスする光景を想像していたからだ。今、それは現実となり、穢らわしい異人種間のセックスは彼の脳裏に焼き付けられ、一生忘れられない記憶となった。ダグラスは下着の中に手を入れると、自分の勃起したペニスをこすり始めた。

 もはや何も言う必要は無かった。ダグラスは今日の礼拝を休むことにした。彼の妻は「巨大な黒いコック」という神の前に跪いているのだ。

 「ハッピーバレー」の終わりの始まりであった。

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 午後遅くになって、魂を抜かれたようになったグレタが小汚い車庫から、自分の邸宅へと帰ってきた。薄手のローブは、両脚の間と胸の部分が引き裂かれ、完全に露出していた。太股にはジョゼフの濃厚なスペルマが滝のように流れている。まるで6ヶ月の航海で女に飢えた30人の船員に輪姦されたかのような格好だった。グレタはそのようになっても、なお美しさを保っていた。彼女の首には、夫が結婚10周年に送った、3重の高級な真珠のネックレスが光っていた。

 ダグラスは、死人のようになった妻を担ぐと、浴室へと運んだ。彼女のために湯を沸かして石鹸を用意した浴室で、彼は愛情をこめて穢された肉体を洗っていった。グレタの意識はまだ昨夜のアフリカ人とのセックスに侵されていて、ダグラスに太股の間を優しく洗われる度に快感の声を挙げた。

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 ダグラスが出張に出かける時は、グレタを警護する為と称し、ジョゼフが屋敷で寝泊りするのは、今や通例となっていた。夜、コックと使用人が眠りに付いた後、黒人の護衛は、美しいブロンドの妻を「護衛」した。次の日、グレタは歩くのも困難になっていたが、それでもジョゼフの大きなサイズを求め続けた。

 今では、ダグラスは妻を連れ、ナイバシャ湖のカントリークラブで開かれる舞踏会に行き、「ハッピーバレー」の住人に会うたびに妄想するのだった。一体、何人のイギリス貴族の夫人達が黒人の愛人を持っているのだろう?もっとも、何人かの美しいイギリス貴族の夫人達は、他ならぬグレタの手助けによって、黒人の愛人を持つことを開始したのだった。

 ダイアナ夫人は年寄りの夫を裏切って、数人のハンサムなイギリス人と不倫をしていた。彼女はダグラスも唆したのだが、それは余りに容易だった。彼はダイアナに夢中になった。「ハッピーバレー」では多くの夫人達が、ドラッグを使った乱交に溺れていった。

 アリス・ジャンゼはイギリス人と結婚して「ハッピーバレー」にやって来た、魅力的なアメリカ人女性である。グレタやダイアナ夫人と共に、「ハッピーバレー」において美人の誉れ高い女性である。彼女は大抵のイギリス紳士と不倫し、彼らのモノを勃たせる方法を知り抜いていた。彼女が使用したブルーの薬剤は後世において「バイアグラ」と呼ばれる薬品だった。彼女達とその薬によって、多くの三角関係がハッピーバレーに生まれ、互いが嫉妬の感情に悩まされることになった。多くの秘密のパーティーでは、数名の逞しいアフリカ人が夫人達に「サービス」し、それを夫達が自慰に耽りながら眺めるという趣向が行われた。ダグラスとグレタは何度もそのようなパーティーに参加しいた。もちろんパーティーでは「バイアグラ」と催淫剤が使われているのだ。

 あまりに多くの嫉妬は、スコットランドの名門貴族・エロル伯爵が死体で発見されるという事件を引き起こした。事件はジョック・デービス卿が、エロル伯爵とダイアナ夫人の仲を疑い、殺害したのだと疑われた。多くの混乱の中で警察の捜査が行われ、ジョック卿のピストルが不運なエロル伯爵の殺害に使われた事が証明された。

 最初に浮かんだのは夫の嫉妬説だ。しかし、ダイアナ夫人やアリス・ジャンゼが多くの男達と不倫しているのは、知らぬ人など居ない周知の事実なのだ。彼女達は多くのアフリカ人の愛人を持っており、その1人である奴隷頭が、ダイアナやアリスとのセックスを邪魔する、気取ったエロル伯爵を憎悪していたという噂が流れた。

 その噂によると、アフリカ人の奴隷頭・ワルフイ・イトートがジョック卿のピストルを盗み出し、エロル伯爵を撃ち殺したというのだ。幸運な事に、ジョック卿のエロル伯爵殺害の嫌疑は晴れ、アフリカ人奴隷頭も白人の美しい貴婦人達とのセックスを続けていた。もちろんその相手には、グレタ・スタンフォード夫人も入っていたのである。

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 KCAの略称で知られるキクユ中央協会は、ケニア人の土地の収奪に対するボイコットと、武力によるイギリス植民地支配の打破のために計画を進めていた。KCAのメンバーは主にアフリカ人の急進的な過激派で構成されていた。色の違いを除けば、KCAとアメリカのクー・クラックス・クランは同系統の組織であると言ってよいだろう。彼らはアメリカのブラックパンサー党の好戦的な活動の先駆けとも言ってよい存在であった。

 ケニアのKCAは、彼らの故郷であるアフリカから、帝国主義者である白人を排除することを目的とした、ネイティブのアフリカ人による組織である。メンバーは伝統的な儀式と部族の誓いによって、強固に団結されていた。彼らの主張によれば、イギリスの帝国主義者達から自分達の国を守っているだけであり、イギリスの移民者を皆殺しにすることが勝利であった。白人男から、魅力的な白人女を奪って犯すことは、勝利の報酬の一部であった。彼らにとって、資源や土地を取り戻すのが真の目的であったのだろうか?白人女を犯すのが本当の目的だったのではないだろうか?

  「マウ・マウ団の乱」を起こしたKCAのメンバーは勢力を伸ばすと、欲しいままに何人ものヨーロッパ白人の婦人を手に入れ、得意の絶頂にあった。彼らはイギリスの帝国主義者達がアフリカ大陸に足を踏み入れたときから、白人男たちの「ブロンドの宝物」を手に入れることを切望していたのだ。白人達はアフリカの中で包囲網の中に閉じ込められていた。この反乱の後には、多くのムラートの子供が産まれるに違いない。

マウマウ団の手に落ちた「ハッピーバレー」の中では、いかなる白人女性も貞操を守ることは難しかった。生き残っている妻の多くが、保護を求めてアフリカ人の夫を娶らなければならなかった。もちろん、新しい夫は白人の妻に、朝夕、そして夜中でも、肉体による奉仕を求めるのだ。哀れな白人女性達は、ベッドの外や、多くの場合は床やテーブルに四つん這いにさせられて犯された。アフリカ人にとっては最高の気分に違いない。

 スタンフォード家の運転手と護衛であったジョゼフ・マイサイは、夜中にダグラス・スタンフォードの喉を切り裂くと、その温かい血をシャンパングラスに注いで祝杯を挙げた。そしてダグラスのも最も貴重な宝であるグレタ夫人を、自らの妻にした。ジョゼフは新しく手に入れたブロンドの美しい妻に、これ以上無いほど満足していた。グレタは彼の欲望の為に奉仕を続けるのだった。

 彼らのような誇り高いアフリカ人の夫には、飽くことの無い性欲があり、白人女を抱き続けた。白人女を手に入れることは部族の誇りであった。今日、黒人のアスリート達が、ベッドで美しい白人女を抱くのと同じようなものであろう。「ハッピーバレー」という名称は、「ハッピー」なKCAメンバーと彼らの「妻達」という、全く新しい意味になってしまった。

 「ハッピーバレー」の元住人は、男は殺され、女は犯されるという事態を救うために、母国のイギリスに空しい救援要請を続けていた。しかし大英帝国はヒトラーとの戦いに苦しんでおり、植民地の人間を救うための時間も、金も、意志も持っていなかった。このマウマウ団の反乱と暴動は、女王に憂慮をもたらしたが、本国に迫っているドイツの脅威が先だった。地の果ての植民地の白人達は完全に見捨てられた形となった。現在、「ハッピーバレー」の運命はデダン・キマジのような、残忍な野蛮人の手に握られていた。植民地の白人達は孤立してしまったのだ!

 デダン・キマジは、マウマウの反乱と暴動を指揮する血も涙もないリーダーだった。彼は自らを「アフリカの騎士であり、南半球の君主」であると名乗っていた。「クークラックスクラン」の「ナイト」を思い出させるのは、突飛な創造ではないだろう。彼は自分達の故郷を「文明化」し、殖民するためにイギリスからやって来た白人の移住者に対し、非常な憎悪を抱いていた。

 キマジは白人一家の「主人」を拷問して殺すのを自らの楽しみとし、彼の妻や女の子供は大抵助けた。白人女性達は、勝利者のアフリカ人の慰み者として、彼らの子孫を産む為に助けられたのだ。白人男への血の復習と、白人女への肉欲を満たした後、キマジは不幸な白人女達を部下達の慰み者にさせたのだった。黒んぼ達の「戦利品」にされるという恐怖の中で、白人女達は、一刻も早く自分が殺されるのを願う事しかできなかった。

 第二次世界大戦が終結した後、イギリス軍がケニアの植民地における殺人とレイプを止めるために派兵された。「ハッピーバレー」にとって、それはもう遅すぎる派兵であった。デダン・キマジが白人たち、特に美しい白人女たちに対し、存分な復讐を加えた後だったからだ。「ハッピーバレー」の白人達は既に、元マウマウ団・KCAメンバーの厳重な監視下に置かれていた。

 白人達がそこから逃げ出したいと思っても、アフリカ人によって「説得」されるのだった。「ハッピーバレー」において、キマジの白人貴族達に対する残酷な反乱が起こってから約10年後、イギリス軍はようやく彼を捕らえることができた。デダン・キマジは裁判所で死刑の判決を受け、1957年に絞首刑となった。彼はやがて「ケニアの父」と呼ばれるようになるかもしれない。彼の手と「コック」によって、あまりに多くの混血児が産み出されたからである。

 第二次世界大戦に続く冷戦の始まりは、イギリス経済に微妙な影響をもたらした。数年後、国庫の出費を抑制する目的で、イギリス首相のハロルド・マクミランは植民地を手放すための処理を開始した。かつての大英帝国の繁栄が支えた植民地をそのまま維持するには、あまりに多くのコストがかかりすぎる為であった。だからケニアの独立は、イギリスの資金不足のおかげであると言っても過言ではない。

 ついに、ケニアは黒人たちが支配する国となった。これが「ハッピーバレー」の最後である。